子供の口呼吸・舌癖
近年、子供の口呼吸が増えています。口呼吸をするのが癖になると、歯並びの悪化を始め、いびきや口臭、虫歯、顔の歪みなどのトラブルが起こりやすくなります。また、鼻毛や鼻の粘膜を通さずに空気が体内へ入ってしまうため、感染症やアレルギーを引き起こしやすくなります。
特に、口呼吸によって歯並びが悪くなった場合は、口呼吸の癖を治さない限り、何度矯正を行っても歯並びが元に戻ってしまう恐れがあります。そのため、子供の頃から鼻呼吸の意識を身に付けさせることが重要です。
「上下の歯の間に舌を出す」「舌で歯を押しだす」「舌を下顎の歯列に置く」など、食事や会話以外のタイミングで不必要に舌が動いてしまう癖を「舌癖(ぜつへき)」と呼びます。
食事や会話をしない時、舌は上顎の正しい位置につける必要があります。
また、赤ちゃんは舌を前に出しながらミルクを飲むのですが、ある程度成長してもその癖が治らず、食べたり飲んだりする時でも口が閉じられないケースもあります。(舌突出癖)。
舌壁があると出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間ができたり、上下の歯が噛み合わなくなったりします。
また、会話する時もサ行やタ行、ナ行、ラ行などが舌たらずになってしまう傾向もあります。
子供の口呼吸・舌癖チェック
- いつも舌を歯で噛んでいる
- いつも口をぽかんと開けている
- 食べ物が口からこぼれる、クチャクチャ音を立てて食べる
- 滑舌が悪い
- 喋っている時につばが飛ぶ、口角にたまる
- 舌を出して食べ物を食べようとする(迎え舌)
- 姿勢が悪い
舌癖を放置してしまうと舌と唇のバランスが崩れるため、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼしてしまいます。
口呼吸をしていないか、舌癖がないか確認してみましょう。
口呼吸や舌癖が生じる原因
口呼吸は歯並びだけではなく、健康におけるデメリットも多いです。
なぜ口呼吸が癖になってしまうのか、その原因を見つけていきましょう。
口の筋肉が未発達
「硬いものを食べない」「よく噛まない」「口呼吸が癖になる」ことで、お口周りの筋肉である「口輪筋」の筋力が低下してしまいます。口輪筋の筋力が落ちるとさらに「ぽかん口」が癖になるため、悪循環に陥りやすくなります。
最近は風船遊びや口笛を吹く機会が少なくなったため、昔より口輪筋を鍛える機会が減りつつあります。そのため、現代は口呼吸のお子さんが増えている傾向があります。
鼻炎、アデノイドなど
鼻炎になると鼻の通りが悪くなるため、息苦しさから口呼吸になりやすいです。特に慢性鼻炎持ちのお子さんは口呼吸が癖になってしまい、口を閉じる力が低くなることも。
「アデノイド」とは、鼻の奥にあるリンパ組織の塊です。アデノイドは2歳頃から大きくなり始めます。最もサイズが大きくなる時期は5~6歳頃で、10歳頃には小さくなっていきます。最もアデノイドが大きくなる5~6歳の時期は、まだ顎の骨格が小さいため、鼻呼吸で息苦しさを感じて口呼吸になりやすくなります。
口呼吸や舌癖をそのままにしていると…
歯並びの悪化
口呼吸のお子さんは、舌が下顎の位置にある傾向が強いです。下顎に舌の力が加わると下顎の成長ばかり促進されてしまい、上下の顎の位置が反対になる「受け口」状態を招きます。
また、唇の筋力も落ちることで前歯を内側に抑える力が衰え、出っ歯にもなりやすいとされています。
風邪を引きやすくなる
鼻の穴はフィルターの役割を持っています。鼻毛や粘膜によって吸い込んだウイルスや病原菌、アレルギー物質が体内へ入らないよう守っています。
しかし、口呼吸になるとウイルスなどが気管へ入りやすくなるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい身体になってしまいます。
虫歯や歯周病になりやすくなる
唾液には細菌を洗い流す「自浄作用」と、虫歯や歯周病を引き起こす菌の増殖を抑える「抗菌作用」があります。
口呼吸によって口内が乾燥して、唾液の分泌量が少なくなると、菌が増殖しやすい口内環境になるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
口呼吸や舌癖の治し方
口呼吸や舌壁は以下の方法で改善できます。
筋機能矯正を受ける
正しい舌の位置と鼻呼吸を身につけるトレーニングを継続することで、口呼吸や舌癖が改善できます。
当院では小児矯正トレーナーと筋機能トレーニングを組み合わせた、オリジナルの小児矯正を行っております。
必ず鼻呼吸できる事を確認のうえ、口にテープを貼って寝る
ドラッグストアなどで販売されている鼻呼吸テープを寝る前に貼ってみましょう。
この方法は特に「鼻呼吸はできるけど、ついぽかん口になってしまうお子さん」に有効です。
耳鼻咽喉科で治療を受ける
鼻炎を抱えているお子さんの場合は特に、耳鼻咽喉科へ治療を受けることをお勧めします。